第70章 妻から離れろ

以前の彼女なら、楓花が自分の過ちに気づき、謝って戻ってきてくれることを――心のどこかで望んでいたのかもしれない。

けれど、もう時は流れた。いまさらそれを必要としていない。

この瞬間の「許して」は、彼女にとって何の意味もない。むしろ、ただ厄介なだけだ。

……

南坂海乃は、自分がいつ眠りに落ちたのかも分からなかった。

翌朝、目を覚ますと――楓花と同じ布団で眠っていた。

昔みたいに、小さな腕で海乃の腕にしがみつき、満ち足りた笑みを浮かべている。

「よかったぁ。ママ、やっと楓花のこと抱っこしてくれた」

楓花が海乃の頬にキスをしようと身を乗り出した、その瞬間。

海乃は目を開け、腕の中...

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